IPテレフォニー・ベンダの戦略 - ネクストマジック - 2006年2月13日 電経新聞 2面 --------------------------------  ネクストマジックは、米国のディジウム社が開発したIP-PBX向けソフトウエアであるアスタリスクをベースにIPテレフォニーを展開している。オープンソースであるアスタリスクを利用することでベンチャー企業ゆえの潜在リスクを回避し、安価で簡便なシステムを提供していく方針だ。当面は中小企業やSOHOなどニッチ市場をターゲットにしていくという。(北島圭) --------------------------------  ネクストマジックはオープンソースであるAsterisk(アスタリスク)に準拠したIP-PBX「RICE-PBX」を販売している。  アスタリスクは米国のディジウム社が開発したIP-PBX向けソフトウエア。オープン・ソースとして作られている。  通常、企業向けのIP-PBXは独自のハードウエアやソフトウエアで提供される。そのためアプリケーションとの連携機能をユーザ自らが作りこむのは困難だった。独自開発のため価格も割高となっていた。  一方、アスタリスクの場合、ソフトは無料なので、「通常の製品より1ケタ安くなる」(萩原州同社社長)。  アスタリスクでは音声自動応答機能やボイス・メール、電話会議などの機能を備えている。  同社ではアスタリスクが出始めた3年前から社内用としてRICE-PBXを利用していた。基本的な評価や端末の相互接続検証などを終えたことから、商用化に至った。  萩原社長は「(RICE-PBXの)決め手は安さと簡便さ」と話す。またオープンソースを利用している点もメリットだという。萩原社長は「オープンソースにより、当社のようなベンチャーが潜在的に抱える廃業リスクをカバーできる」と話す。ベンチャー企業と取り引きする場合、サポート体制などを懸念するユーザは多い。オープンソースの場合、万が一のことがあっても他社の引き継ぎが可能なことから同社のようなベンチャー企業であっても健全な競争ができる。  また日本ではオープンソース系IP-PBXの歴史が浅いことから「アスタリスクがデファクトスタンダードになる可能性が高い。初期の段階から注力することで得られるアドバンテージとルータ系の組み込みノウハウを持っている点が当社の強みになる」と萩原社長は主張する。  同社では当面、中小企業・SOHO向け市場やビジネスホン市場をターゲットにRICE-PBXを販売していく方針だ。要するにニッチでカスタマイズを要する分野を狙っていこうというわけだ。  また単体ハード売り、組込ルータへの実装、24時間365日保守、ASP化なども視野に入れている。萩原氏は「単体ハード売りは当社のブランディングに貢献する。単体ハード売りを起点にSIやソフト開発、保守などにも切り込んでいきたい」と話す。  一方、課題もある。アスタリスクが日本市場のニーズにまだマッチしていない点だ。「例えば保留転送の方式など細かい文化が欧米とは異なるため、日本仕様に合わせることに注力していきたい」と萩原社長は述べる。  同社ではBRI(ISDN基本インターフェース)付きモデルを年100台売ることを目標にしている。  また「RICE-PBXに頻度データ分析をベースにした独自のリマインダー機能を実装し、電話機をインタフェースとした営業支援ツール付PBXとして進化させたい」(萩原社長)と野心を覗かせる。■ ◆お問い合わせ先◆ 株式会社ネクストマジック TEL:03-5827-1090 e-mail:info@nextmagic.com website:http://www.nextmagic.com/ 弊社訂正:弊社回答に誤りがございましたので、訂正致します。 (3行目)ソフトは無料なので → ソフトが無償であり、ハードウェアに標準品を使えるため。 (4行目)「3年前から〜」 → 「3年前から着目し、Asteriskの安定版がリリースされた2004年秋頃から〜」