ITベンチャー前線動向 - ネクストマジック - 2004年7月26日 電経新聞 2面 -------------------------------- ネクストマジック(東京都台東区、萩原州社長、03-5827-1090)が開発中の無線ネットワーク技術「バブル・メッシュ」。オリジナル技術ということもあり、その動向に注目したい。(北島圭) --------------------------------  ネクストマジックが目下開発中の自律分散型の無線通信ネットワーク技術「バブル・ メッシュ」は、“絶対に途絶しない無線ネットワーク”を目指している。  「強靱なネットワークを数学的に考えた結果、泡の形をしたネットワークが非常に優れていることがわかった。そのためこの通信技術をバブル・メッシュと名付けた」と説明する萩原社長は、バブル・メッシュが一般的な無線メッシュとは一線を画した技術であることを強調した。  無線機を数珠つなぎにして遠隔地まで電波を届ける無線メッシュという技術は一般的に1つの経路が確定されると、その経路しか使えなくなる。一方、バブル・メッシュは複数経路を同時に確保する。「そのためどこかが途切れても、別な経路が生きているので、全体の通信を途絶させることはない」(萩原社長)。数メートル - 数キロ間に多くの無線区間を設け、各区間を無線アクセスポイントで自律的・動的に相互接続するので、いかなる場合においても通信インフラが維持できる。そういう意味ではミッションクリチカルなネットワーク構築、防災・防犯用の広域ネットワーク構築に最適な技術だ。  「またバブル・メッシュは自律的に複雑なネットワークを構築する点がミソなので、無線メッシュの構築よりも簡単だ」と萩原社長は付け加える。  バブル・メッシュの開発は年内に完了する予定。「秋口から営業展開していきたい」と述べる萩原社長は「ターゲット市場は大きくわけて2つある」と続ける。  1つは無線技術が浸透した領域。具体的には無線LAN市場。「例えばNTTドコモがFOMAに無線LAN機能を搭載した。これがトリガーになって、無線IP電話が普及すれば、バブル・メッシュの活用場面が出てくるのではないか」と萩原社長は期待する。  もう1つは同社がメイン市場として狙っている、通信の途絶が許されないミッションクリチカルな領域。地域の防災無線や防犯システムへの適用だ。例えば有線は線が切られると機能しない。無線は線が切られる心配はないが、従来のネットワーク構造は脆弱だ。「しかしバブル・メッシュであれば緊急災害時でも機能する」と自信を見せる萩原社長。「もともとバブル・メッシュは緊急時・災害時でも確実につながる通信を目指して開発された。ゆくゆくはバブル・メッシュを社会のライフセーバとして定着させたい」との展望を示す。■